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Cosmos 3位作品の解説

Cosmos Awards で3位となった作品は、メイクアップ・アーティストの 髙橋 精 さんとのコラボ第2弾。
コラボが決まった時に、いろいろと相談して方向性を探りましたがなかなか結論が出ませんでした。

そんな時にふと思いついたのがこれです。
このアイデアを髙橋さんは「面白い!」と受け入れてくれました。
メイクを仕上げるには3時間は掛かったと思います。
その集中力と再現力は流石という、ありきたりな言葉では失礼過ぎます。
そして、モデルを務めてくれた Carl Johan Törnströmさんの忍耐力には本当に感謝です。
お二人、本当にありがとうございました。
また、スタジオをお借りした Yorita Ryumaさんにも、お礼を。
ありがとうございました。

さて、作品は多くの方が知るゴッホの自画像です。オリジナルと違う点は右手に持つ拳銃です。
これについて、解説します。

私はゴッホという作家を考える時、彼の生涯を思うと切なく苦しくなります。
日本画を愛し、日本に憧れ「きっと日本ってこんな所に違いない」という思い込みから南フランスのアルルに移住します。
画家の楽園を作ろうとし、一軒家を借りて画家仲間達を呼ぼうとします。
しかし、誰も来ません。(彼の面倒くさい正確を知るゆえ)
ゴッホを支えていたのは弟のテオ。
美術商をしていたテオは、ゴーギャンに描いた絵を買うと言う条件と引き換えにアルル行きの約束を取り付けます。

喜ぶ、ゴッホはゴーギャンの為に肘掛け付きの椅子を買います。
(自分の椅子には肘掛けはありません)
いざ、アルルへと行くと、描いた絵にいろいろ注文を付けるゴッホ。
部屋の片付けや料理が苦手で金遣いもむちゃくちゃなゴッホには、ゴーギャンもいやになり、共同生活はたった2ヶ月で破局します。
そして、あの耳切事件へと繋がり、ゴッホは精神病院へ入院。(警察の調書にはケンカになってワイン府ラスを投げつけたゴッホに、ゴーギャンがフェンシングの剣で切ったと書かれている説も。ゴーギャンをゴッホはかばったのかもしれません)

退院するも、ゴッホを待っていたのは町の人からの冷たい仕打ち。
再び、自ら精神病院へ。

退院後、オーヴェルで知り合った医師ガシェが良き理解者となり、そこで住むのですが、ここでも孤独は埋まりませんでした。
そこで、拳銃による自殺をしたと言われています。

ただ、自殺とするには不可解な点が多く他殺説もあります。

・貧しいゴッホがどうやって、銃を手に入れたのか?
・一週間前に絵の具を注文している。
・筆まめなゴッホが遺書を書いていない。
・撃った場所がお腹(心臓の下)
・銃弾が貫通せず、体内に残っていることから、離れた場所から撃たれた可能性
・不良少年グループの1人が「その銃は私の物だ」と供述している
・ゴッホは「自分で撃ったから誰もせめないで」と言っていた。

孤独の中、からかわれる不良少年グループさえもゴッホは愛おしく思っていたのでしょう。
少年は、遊びのつもりで撃ったら当たってしまったのかもしれません。
ゴッホはゴーギャン同様、彼をかばって銃を池に投げ捨て帰らせたに違いない。私はそう思います。

いずれにせよ銃弾によって命を落としたゴッホ。
私の作品のゴッホが右手に持つ銃はそれを意味しています。
悲しそうな表情は孤独感です。
私も写真作家みたいなものの端くれ、孤独感を多少ならず知っています。ゆえに、ゴッホの絵を見ると、切なさが押しよせます。

ゴッホは今でいう、発達障害であったにちがいありません。
そういった人達に向けられる冷たい視線。
人とは愛する対象であると同時に、怖い性質をもつ側面もあります。
そんな人の中に潜む悪に目を背けてはいけない。
自分の中の悪を忘れてはいけない。
そんなメッセージを送りたく作ったものです。

長文を最後までお付き合い頂き有難うございました。

Cosmos 3位作品の解説

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