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「原安三郎の愛した日本美術」
日曜に アワガミファクトリー さんで、「原安三郎の愛した日本美術」という講演があり、参加してきました。
発端となったのは、アワガミさんが歌川(安藤)広重「阿波の鳴門の風波」(原コレクション)の復刻をしたことです。
講演では徳島県出身の原安三郎の功績を国際浮世絵学会常任理事の小池満紀子 さんから聞かせて頂きました。
原 氏は日本財界の重鎮でありましたが、美術品の蒐集家でもあり、細江英公さん(写真家で9/16にお亡くなりになった)の写真集”気骨”の表紙になった方です。
小池さんから話を聞くにつれ、経済と美術において素晴らしい功績を残された徳島県人であった事を、教えて頂きました。
県民としてご存じないことを恥ずかしくおもいました。(行政や教育でもっと紹介していただきたい!)
第二部は小池さんに加え、”阿波の鳴門の風波”復刻にあたった摺師の平井恭子さんのトークショー。
復刻にあたり、いろんな試行錯誤があった苦労談や、その復刻から得た多くの学びを、目をキラキラさせながら話されるお二人の表情に同じものづくりをする物として、「その気持ち分かるー!」と大きくうなずきました。(^^)
今回の復刻には、渦潮の深い青色を出す為に阿波藍を用いた顔料が製作されました。
それをなんと、阿波和紙伝統産業会館 館長の奥さまで藍染師の恵美子夫人が作られたと。
こんなに凄い、復刻をなぜTV取材が入らなかったのか!残念でなりません。
入っていれば、その顔料製作や擦りの試行錯誤が見られたのに。()
小池さんは、版画は複製、さらには復刻が出来る世界に稀な、日本の誇るべきアートだと言う事を強く仰っていましたが、その言葉からは、浮世絵への強い愛を感じました。
かつて、俵屋宗達が描いた”風神雷神図”を尾形光琳がまったく同じ構図で描いています。
形あるものはいつかは失われる。形に宿った精神を次の時代に再生産した日本美術。
その完成形が版画だったのかも知れませんね。
小池さんに、日本画の特徴であり西洋画とは完全に違う部分で、私にとって大きな疑問を問いかけてみました。
「黄金比、色彩遠近法、空気遠近法を使わなかったのは、なぜなのか?」
小池さんも、それに関してはまだ解っていないから、もっと勉強したいとおっしゃっていました。
長時間でありましたが、楽しく勉強させて頂きました。
たった、500円でお土産までいただける、主宰者のアワガミさん、本当にありがとうございました。