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空想癖と写真作品

白無垢が心に染みる。

そんな感覚を覚えるのは私だけでは無いと思います。

この感覚は何なのか?

ウエディング・フォトグラファーとして活動を始めた頃、すぐにそんな事を考えました。

まずは1つずつ事実を受けと止めることから始めました。

1つ目は真っ白の着物は日本人にとって、死に装束であるという事です。

なぜ、花嫁がその様な格好をしているのか?

「あなたの色に染まります」などという説もありましたが、私にはピンと来ませんでした。

「もっと、深いものがなければ文化とはなり得ない」という根拠無き感覚でした。

2つ目は、頭に付ける「角隠し」です。

この写真は綿帽子ですが、どちらも嫁入り道中に鬢付け油で結った髪に、砂埃が付くのを防ぐ為のものでした。

人には角(つの)など無いのにどうして、そんな呼称が付いたのか?

いろいろと調べても答は、なかなか見つかりませんでした。

有るとき、小説を読んでいたら出て来た一説にハッとしました。

そこには「鬼籍に入る」と書かれていました。

人が亡くなることを指した言葉です。

閻魔大王が持っている台帳に名前が載る(鬼の籍に入る)から、そう言われると。

だから、人は死ぬと鬼になるとも言われる?

ここから私の推測は一気に回転を始めました。

つまり、お嫁さんは死んでいる・・・。

だから、死に装束をしている。

そして、鬼になっているから角隠しが必要となった・・・。

点と点が線で繫がった瞬間でした。

しかし、なぜお嫁さんは死んでいるのか?

ここに大きな問題が残りました。

歴史上、白無垢は平安時代に生まれたものだと言われています。

当時結婚式は三日間にわたり執り行われたそうです。

最初の2日は嫁入りの時に着た白無垢を。

3日目に、その家の嫁と認められ、用意された色打掛を着用したとか。

3日間も結婚式を行うとは、なんて贅沢な。

ちょっと待って下さい。

普通の人にそんな事は出来なかったに違いありません。

きっと貴族階級の人達です。

貴族の結婚というと、当然の事ながら政略結婚であったハズです。

当時は家を守る為に、娘を敵の家に嫁に出すことはよく有った・・・。

ここで、私は理解しました。

親にとって、嫁に出す娘が不憫でならない。

自分達の心を納得させるために、娘は死んだものと考える事にしたのではないだろうか?

だから、死に装束を着せて、角隠しをした。

私は、このストーリーを思いついた時に、有る意味確信を得ました。

この悲しい、物語は語り継がれ文化と定着した・・・。

だから、白無垢を見ると心に染みる、胸がキュンとなるのではないでしょうか?

私たち日本人にはそんなDNAが内包されている・・・。

同業者や美容師さん達に、この件について質問しても誰も答は知っていませんでした。

私の推測から出した仮説を話すと、誰もが「そうに違いない!」と言ってくれました。

写真は先日のThe BIPP でのフェローシップ取得で提出した20枚のうちの1枚です。

ジャッジには、私のことをストーリーテラーだと褒めて頂きましたが、この空想癖が写真に役立っているのかも知れませんね。w

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