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無くしてはいけないもの。

【日本では写真作品は売れない。】

よく聞く話です。
その理由に、欧米と異なる住宅事情があると言われます。

果たしてそうでしょうか?
実際に絵画と比べるとどうでしょう?
また、インクジェット紙を供給しているメーカーさんから聞くと、イラストは売れていると言われます。

問題は、もしかすると飾りたくなるような作品かどうか?という事が原因なのかも知れません。
或いは、先日例に出したパリフォトを代表する様に、写真文化そのものが成熟していない可能性も否定できません。
また、その両方かも知れません。

この写真は、私の姪の結婚写真です。
母親である姉から、大きく伸ばして欲しいと依頼を受け、イタリアの Graphistudio でパネルを制作してもらいました。
表面はキャンバスの様な素材で、暑さ3センチ程度の木枠に装丁されています。
裏にはコピーライトも記されています。
大きさは横幅が120センチ程度あります。
リビングの壁一面を使って、掛けています。

姉は言います。
「もっと大きくても良かった」と。
私も姉の家に行き、何気にこの写真を観て「いいな」と思います。
ちなみに、姉の家は決して大豪邸ではありません。
美馬市脇町の一般的なサイズの1個建て住宅です。

その写真からは、大きさからくる迫力を感じます。
小さい写真では感じられないものを。
日本ではこの様に大きなウオールアートを作りたくても、作ってくれるメーカーさんがありません。
需要が無いから作らないという事なのでしょう。
でも、それではいつまで経っても、そういった文化は育まれません。
かと言って、メーカーさんも慈善事業ではありません。
売れない商品の材料を抱える事は、経営上難しいですもの。

フォトグラファーが意識を変えて、お客様に伝えていかない限り、この問題を改善する事は難しいと思います。
飾る写真はおろか、アルバムやプリントさえも、減り続けている現実は果たして健全でしょうか?
お客様が求めないなら、それでいいのでしょうか?
データは非常に脆弱なものです。
CDやDVDに焼いたデータは永遠ではありません。
クラウドにアップしたとしても、そのサービスが永遠に続いているでしょうか?
仮に、続いていたとして50年先に、そこに写る人はどうやって、その写真を探せばいいのでしょうか?

プロで有る私たちが、お客様に重要性を説き、作らせて頂かないといけないと思うのです。
手離れがいい、jpeg撮って出しのデータ納品でハイ終わり。
それも、利益を考えるなら有りかも知れません。
でも、このままプリントが減っていくと必ず起こるのは、プリント・サービスなどの廃止です。
企業努力も限界があります。
特に銀塩プリントなどは一度サービスを止めてしまうと、その特質上再開は不可能かと思います。

文化としての写真の将来を考えるなら、フォトグラファー全員が考えなければならない問題と思えてなりません。

The BIPP Fellowship 20Panels 14/20

無くしてはいけないもの。

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